RESEARCH 陸上植物の発生進化
陸上にはコケ植物、シダ植物、裸子植物、被子植物など多様な形態を持った植物群が存在しています。しかし、被子植物以外には遺伝子工学を用いた研究ができる実験材料が無く、形作りの遺伝子の進化を調べることが困難でした。我々は、Purdue大学のJo Ann Banks博士がサバティカルで基生研に１年間滞在中に共同でシダ植物リチャードミズワラビで遺伝子機能抑制ができる実験系を確立しました。また、ヒメツリガネゴケで自由に遺伝子操作ができるような実験系を確立し、世界で最も技術水準の高い研究室となりました。そして、どのような形態形成遺伝子制御ネットワークの進化が形態的多様性を引き起こしたのかが研究できるようになりました。このような実験技術開発の結果、祖先が１倍体発生過程で使っていた遺伝子系の一部が２倍体発生過程の進化時に流用されたり、２倍体発生が進化する過程で新たに遺伝子系ができあがったりしていることがわかってきました。
リチャードミズワラビのモデル生物化
Rutherford, G., Tanurdzic, M., Hasebe, M., and Banks, J.A. 2004. A systemic gene silencing method suitable for high throughput, reverse genetic analyses of gene function in fern gametophytes. BMC Plant Biology 4: 6.
ヒメツリガネゴケのモデル生物化
Nishiyama, T., Hiwatashi, Y., Sakakibara, K., Kato, M. and Hasebe, M. 2000. Tagged mutagenesis and gene-trap in the moss, Physcomitrella patens by shuttle mutagenesis. DNA Res. 7: 1-9.
Hiwatashi, Y., Nishiyama, T., Fujita, T. and Hasebe, M. 2001. Establishment of gene-trap and enhancer-trap systems in the moss Physcomitrella patens. Plant J. 28: 105-116
